コロナウイルスの影響でバイト先が休業など、学生を取り巻く状況は深刻です。福島大学ではいち早く学生の実態調査を行い、JAと連携しお米などの物資提供や農業アルバイトなどに取り組んでいます。その中心となっている小山先生にお話を伺いました。
①全体像
・福島大学は、院生も含め約4200人の学生がおり、県外から来ている学生は約半分、うち寮生は500人(寮の家賃は月8,000円)
②リモート授業について
・オンライン授業について。前期(9月末まで)はリモート授業を行う。全員が対応できるようにパソコンやタブレットの無償貸与などを行っている。それでも250人の学生はネット環境が整備できないため大学の図書室などを利用できるようにしている。
・zoomの様な双方向では通信料がかなりかかる、国からもデータダイエットの要請が来ている。オンラインは週2~3コマ。オンデマンド(ダウンロード可)が8割。30分動画をアップするにも1時間かかる(これまでは5分で済んだ)
③生活面について
・学生の実態。
例1)アパート家賃5万円、学費月々5万円(年間60万円)、プラス食費や通信料などで15~16万円かかっている。
例2)アパート家賃・授業料を親が仕送りしてくれる場合でも、食費などの生活費は自分で稼がなくてはいけない。約7万円分。
例3)奨学金月4万円。他の学費や生活費6~10万円をバイトで工面していた学生は一番大変。こういう学生が一番多い。
・学生はこれまでもアルバイトをして学費などを自分で工面してきた。しかし今はバイト先が休業などでバイトができず経済的に困窮している。早い所では2月~、4月以降は多くの学生がバイトをしている居酒屋なども休業となり、学生は収入がゼロになった。今後も、時短営業や3密を避ける営業となれば人員も不要、バイトから切られるため学生がバイトできず経済的に苦しい状況は続くだろう。
・東北や北関東出身者が多いので、親の所得も決して高いわけではない。
④福大が行ってきた支援
・4月、福大の「ライブキャンパス」を使って全学生の実態調査を行った。その結果で「食料に困っている」という学生が多かったことから、4月20日、JAと連携し1トンのお米を、500人の学生に配布。その後、レトルトや缶詰、干し芋や卵など寄付を受けたものを学生に配布してきた。
・福大独自の基金を作り、学生に5万円の貸し付けを行っていく。
・JAと協力し、学生の農業アルバイト。時給800円、送迎、昼食付。収入を得られることや体を動かせるなど学生からも好評。農家の方も外国人実習生などが見込めないことなどもあり、お互いのニーズが合致。JAも仲介料をとらない。夏は選果場でのバイトなど今後も続けていく。
・相談窓口設置して心理カウンセラーの教員がワンストップで対応。その後具体的な相談は担当窓口につないでいる。
⑤要望など
・学生の半分は県外出身者だが、学部別にみると食農学類は県外出身者7割。しかし全国的に農業系の学科で学ぶ学生は、学んだ地域に残り就職(就農)することがほとんど。今後の社会を担う、地域のためにがんばりたいという学生の意欲を今こそ支えてほしい。
・学費が高すぎる。せめて今年は授業料無料に、など思い切った判断をしてほしい。諸外国では授業料無料のところもあって、世界的に見ても日本は学費が高いから。
・福大では「コロナで退学者を出さない」との思いで支援を行い、アンケートやオンラインでの面談(のようなもの)をするなかで学生の困窮度などを一定把握できるようになってきた。県としても学生の実態を把握してほしい。そして困っている学生にしっかりと支援をしてほしい。
深刻な実態と切実な要望が寄せられました。引き続き県内各地の大学等の実態調査を行います。今こそ学生支援の実現を求め取り組みます。