今日は県議団で福島大学・筒井教授から、原発事故で住民が受けた精神的な苦痛などに関しての調査結果についてお話を伺いました。
筒井先生らのグループは2011年3月~県内で暮らす母子を対象に心理的影響について調査を続けており、2023年11月頃からは浪江町の住民や避難指示の出なかった県民を対象に、事故から12年後の心理的影響について調査されました。結果についてはNHKなどマスコミ報道もすでにされています。
特徴的だったのは、故郷に戻った避難者(帰還者)がより強くストレスを感じているということです。本来であれば、故郷に帰れるということは喜ばしいことのはずなのに、しかし実際には、避難先のコミュニティからは離れることや、帰還を巡って家族間の新たな分断がある場合もあり、帰還しても元のふるさとではないことからショックが大きいことなどにより、戻った人ほど心理的影響が大きいとの結果となりました。「帰還者は、避難元に戻ってもコミュニティがなく孤独で、帰還後のケアが求められている」、「帰った人が『帰ってよかった』と思える政策をやってほしい」との筒井先生の言葉を重く受け止めました。
筒井先生らが行われている、原発事故の精神的な被害を心理学の側面から科学的に証明する取り組みは、非常に重要だなと感じました。
また、筒井先生らは原発事故のあったウクライナでも調査を行っています。ウクライナでは、事故から30年過ぎ子どもが大きくなっても、「明日も子どもは健康でいられるのだろうか」と子どものことを心配する母親が一定数いることが分かっています。それだけ母親の不安は大きいものだということです。
ウクライナでは「心理社会リハビリテーションセンター」で健康相談を受け付けています。センターでは、気を付けるもの・ことなど正しい情報の発信、スポーツ交流、子ども向けイベントなど、日本でいう公民館的な役割を果たしています。スリャビチという地域では廃炉作業員がたくさん移ってきており、作業員の不安対応もセンターで行っています。日本(福島県)でもそうした取り組みが必要です。
もう一つ印象的だったのは、チェルノブイリ原発事故により被害を受けた北欧の対応です。北欧の政府は、国民に対し情報をオープンにしたことによって、国民が政府を信頼しその後の回復でもうまくいったそうです。(唯一、ノマド「遊牧民」には情報が伝わらず、トナカイで生活していたノマドの人々は内部被ばくをしてしまったため、政府への不信感はある様子)。一方、政府と国民の信頼関係の構築に失敗したのは、旧ソ連、日本です。
失われた信頼をどう回復していくのか、帰還者の精神的なケアに政策的に取り組むことなどが求められています。
