大橋さおりのかけ歩き

日本共産党福島県議会議員・大橋さおりのブログです

「なぜ学ぶのか」?、未来へのバトン-議員勉強会

 引き続き入院中、議会欠席のため昨日の勉強会には参加できませんでした。

 福島大学の前川先生を講師に勉強会が開催されました。議会用タブレットに届いていた資料を見ましたが、資料だけでも大変勉強になる内容でした。

 

 なぜ学ぶのか。

学校外での勉強時間は、40年前と比べて3割程度減少しています。(中学生113分→77分、高校生99分→66分。1982年と2012年の対比)

40年前は、頑張って勉強すればいい学校、いい会社に入れると、勉強が自分の将来のためと実感できる時代でした。一方現在は、未来の不透明感、「右肩上がり」を一度も経験していない世代で、「勉強は自分のため」と言われてもそれが実感できないのではないでしょうか。正規雇用が当たり前ではなくなり非正規雇用が増えるなど、日本経済の「失われた30年」と重なると思います。

 今の子どもたち・若者にとって、自分の学びが、誰かの支えになると実感できることが必要ではないか、と。

 

 最後には、「若者に選ばれる県」になるために、女性がやりがいを持って働ける職場づくりやパートナーシップ制度の導入を呼びかけています。

近隣県(青森、秋田、山形、栃木、群馬、茨城)は県として同制度を導入しています。

県内では今年一月から伊達市が導入し、福島市富岡町南相馬市などで導入予定となっています。

直接講演を聞けなかったのが残念ですが、ぜひ他の議員の方々とも意見交換したいと思いました。

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県民連合の代表質問

 代表質問2日目。今日は県民連合が登壇しました。

 途中、病院内でのいろんな予定が入り、答弁を聞き逃したところも多々。あとで答弁書を見ておきたいと思います。

 前進面だと感じたのは、就農者への支援です。空き家の紹介、中古機械のあっせん?、軽トラリース助成などを市町村が行った場合、県がそこに補助をするようです。退職後、就農した人も対象にするとの答弁でしたが、移住した人に限定?

 移住せずとも先祖代々の土地を守るため、退職後に農業を始める方はいます。「退職金や貯金を費やして農業を頑張っている」との声を聞いてきました。移住かどうかに関わらず、農業に携わっている人への支援が必要です。

 

 今日で代表質問は終わり、来週からは一般質問です。共産党は神山悦子団長が、3月4日に登壇します。

 現在、代表質問ができる「交渉会派」は自民党と県民連合の二つの会派のみです。どちらも知事を支える県政与党ということもあり、県が行う施策の後押しが基本です。

物価高騰から県民生活をどう守るのか、全国的にも(福島県は特に)コロナ感染拡大で10波といわれている今、医療機関や県民の健康をどう守るのかが問われています。

原発事故からまもなく13年、避難地域の医療費などの減免打ち切りは被災者の暮らしに大打撃です。除染など復興のあり方、能登半島地震で明らかになった原発の危険性などへの指摘を行うべきですが、こうした質問は2つの会派からは出されませんでした。

自民党代表質問で明らかになったこと

 今日は自民党の代表質問。新たな取り組みなど明らかになったことがいくつかありました。

 

1.執行体制の強化について。公共交通など、県民ニーズ?の高いところの場所の体制を厚くする。(例示されたうち聞き取れたのは、公共交通やゴッホ展など。他にも厚くすべき場所はあるだろうと思いながら聞きました)

 

2.思春期の頃から性と健康に関する相談窓口を整備する。→県議団も、包括的性教育について求めてきました。この観点での役割発揮を求めたいと思います。

 

3.県営住宅の空き住戸の活用について。単身若者のニーズを調査し、要件緩和も見据えて取り組む。移住者などであれば若い世代の入居も受け入れてきましたが、これをさらに拡大する方向。民間アパートは震災以降家賃が高止まりしており、若い世代にとって家賃は大きな負担になっています。家賃補助制度の実現とともに、県営住宅の要件緩和で若い世代も入居できるようにと、これも県議団として求めてきたものです。拡充に繋げられるよう今後も注視していきたいと思います。

読書「地域新電力 脱炭素で稼ぐまちをつくる方法」

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やっと読み切ることができました。

地球沸騰化と言われる時代、気候危機対策は世界的な喫緊の課題です。

原発事故を契機に再エネの機運が高まり、全国の取り組みが広がっています。

本書では、「2050カーボンニュートラル」を本当に実現するためのとりくみ、再エネは地域経済や地域の担い手育成、地域の課題解決にも再エネが寄与できる、さらに地域住民の利益にもつながることが述べられています。主に再エネは地域外企業が担いがちですが、地域内企業の取り組みが広がれば雇用にもつながり地域経済の活性化につながること、バスや電車の本数が減りデマンドタクシーなどの需要が高まっていますが、そうした課題と再エネを連携させて発展させていく取り組みも紹介されていました。

著者が「今後のまちづくりは、地域資源の活用がされ、地域人材が実践し、地域の稼ぎがしっかり生まれる事業とすることが重要」だとの指摘はその通りだと思いました。以前のような大型開発はハイリスクである上に、地域には固定資産税の収入くらいしかメリットがないことも触れており、伊達のイオン建設や福島駅前再開発のことを思い浮かべました。

 

また、行政の約3年での異動はノウハウを蓄積しにくいシステムであることにも触れており、特に再エネは新しく重要な課題であり、行政が知識や実績をこれから積み重ねていく分野です。再エネの専門家となる職員を、行政としても育成していく必要があると指摘しています。業務効率化などを理由に外部委託も増えていますが、実際は国への補助金申請や委託先の入札・経過報告などはあり、行政の業務量削減に大きくつながるものではないこと、それだけでなく最大のデメリットは外部委託することにより行政にノウハウの蓄積がされないことだと指摘しています。

東京都では、若手職員も含めボトムアップで政策提案ができること、希望を出せば海外研修も(公費で)行けることで、職員のモチベーション向上にもつながっているそうです。スウェーデンと同規模の予算を持つ東京都だからこそできる取り組みもあろうかと思いますが、ボトムアップで意見が出せることはどの組織にも必要なことだと感じました。

 

全国の先進事例も紹介されており、ぜひ現地に行って直接話を伺いたいと思う事例ばかりでした。常任委員会や特別委員会の視察先にもいいかな、と。

長野県の屋根貸し(県有施設にソーラーパネル設置、地域事業者へ貸し出すもの)、鳥取県米子市は地域で発電し公民館などへ供給、余剰電力は蓄電池に充電するなどの取り組み、京都府福知山市では市役所本庁舎、学校、公民館などに100%再エネ電力を供給など、興味深い取り組みがたくさんありました。

 

再エネで地域おこしができる可能性、再エネ事業は地域の課題解決にも寄与することなど、展望のある話が盛りだくさんで、とてもわくわくしながら読みました。

再エネ分野はもちろん、まちづくりに携わる方などいろんな立場の方にお読みいただき、ぜひ意見交換したいなと思う一冊でした。

「尊厳」について

昨日無事に手術を終えました。

昨日は体がだるく無気力、今は麻酔が切れてきて患部が熱くなってきました。体温も上昇。

 

この1週間、医師、看護師、理学療法士、事務の人、清掃の人…いろんな人にサポートしてもらって入院生活を送っています。
右脚がちょっと不自由なだけで不便を感じて、健康でいられることのありがたみを実感する毎日です。もう怪我はしたくない。

 

この病院の「入院の手引き」に命と健康、尊厳を守ると書いてあり、石川の避難所のことを考えました。

私が安心して回復に専念できるのは、あらゆる方面でサポートしてくれる人がいるからです。
被災者の生活再建だって、いろんな人が関わる必要があるのに個人任せ。避難所の環境も「尊厳を守る」ものになっているでしょうか。

海外では、シェフが炊き出しを作ってくれるなど、普段と変わらない生活を送れるような支援を行っています。(余談ですが、2019年初当選時、私の初質問は「温かい汁物を避難所に提供すべき」というものでした。)

生活再建までは長い道のりとなるでしょう、そのためにパワーをつけて心も体も休めるような避難所へと改善しなければなりません。

災害のたびに、災害関連死が出てしまっています。避難所の劣悪な環境は「災害の時だから仕方ない」ものではないと思います。改善していけるはず。

 

被災者の生活再建を支える災害ケースマネジメントの重要性を身をもって感じました。

読書「女性公務員のリアル」

佐藤直子著「女性公務員のリアル」を読みました。著者の佐藤さんは首都圏政令市の市役所職員で、ジェンダー分野の研究もされています。自身の経験や全国の女性公務員から聞き取った声などに基づき、社会構造の課題を分析、男女問わず一人ひとりが働きやすい環境へと変えていくことを提起しています。

 

読んでいる間、いろんな職員の方の顔が浮かびました。

著者曰く、現状では、出世のためには長時間労働ができるメンタルタフマンであることが求められますが、これは男性だって苦しいこと。

男性公務員には(明確な)出世ルートがありますが、女性公務員ではそうしたものは聞いたことがない、と。そのため、女性公務員は経験を蓄積しにくく、同世代の男性職員と比べ「自分は外野か」と思い、やりがいや意欲を失う=組織としても市民(住民)との関係でもデメリット。

管理職になるために必要な経験を蓄積しにくいまま女性が課長などの役職になったとしても判断基準などが分からず、本人も辛く、周りとの関係もギクシャク…。悪循環だと思いました。

それは社会構造上の課題であると、著者は指摘しています。男性公務員が長時間労働を選択しやすい立場にある、その前提は女性が家事や育児など「無償労働」を担っているから。

 

福島県の女性管理職の割合は、目標である12%を達成しています。(全国の目標と比べれば低い値ですが)

全国的に女性登用の動きがありますが、実態は本庁ではなく支庁(出先)や専門職に偏っているケースも多いそうです。つまり、それでは政策決定の場に女性がいる、ということにはならないわけです。

 

また、日本の公務員の人手不足についても言及。有給休暇などの制度があっても人手不足だから実際には権利を行使できない、国単位で変えていくことが必要と。

 

著者は繰り返し「日本の長時間労働が、性別分業を再生産させてきた」と指摘しています。

公務員として必要な力を鍛えるためには長時間労働が前提となっており、それによって女性が管理職になる道が閉ざされる傾向にあること、男性にとっても働きやすい環境ではない、こうした社会構造を知り、変えていくことが必要だと述べています。

 

まさに「リアル」な実態が記されていてとても勉強になりましたし、現状をどう変えていくのかというところまで言及していて、理解が深まりました。

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