大橋さおりのかけ歩き

日本共産党福島県議会議員・大橋さおりのブログです

読書「女性公務員のリアル」

佐藤直子著「女性公務員のリアル」を読みました。著者の佐藤さんは首都圏政令市の市役所職員で、ジェンダー分野の研究もされています。自身の経験や全国の女性公務員から聞き取った声などに基づき、社会構造の課題を分析、男女問わず一人ひとりが働きやすい環境へと変えていくことを提起しています。

 

読んでいる間、いろんな職員の方の顔が浮かびました。

著者曰く、現状では、出世のためには長時間労働ができるメンタルタフマンであることが求められますが、これは男性だって苦しいこと。

男性公務員には(明確な)出世ルートがありますが、女性公務員ではそうしたものは聞いたことがない、と。そのため、女性公務員は経験を蓄積しにくく、同世代の男性職員と比べ「自分は外野か」と思い、やりがいや意欲を失う=組織としても市民(住民)との関係でもデメリット。

管理職になるために必要な経験を蓄積しにくいまま女性が課長などの役職になったとしても判断基準などが分からず、本人も辛く、周りとの関係もギクシャク…。悪循環だと思いました。

それは社会構造上の課題であると、著者は指摘しています。男性公務員が長時間労働を選択しやすい立場にある、その前提は女性が家事や育児など「無償労働」を担っているから。

 

福島県の女性管理職の割合は、目標である12%を達成しています。(全国の目標と比べれば低い値ですが)

全国的に女性登用の動きがありますが、実態は本庁ではなく支庁(出先)や専門職に偏っているケースも多いそうです。つまり、それでは政策決定の場に女性がいる、ということにはならないわけです。

 

また、日本の公務員の人手不足についても言及。有給休暇などの制度があっても人手不足だから実際には権利を行使できない、国単位で変えていくことが必要と。

 

著者は繰り返し「日本の長時間労働が、性別分業を再生産させてきた」と指摘しています。

公務員として必要な力を鍛えるためには長時間労働が前提となっており、それによって女性が管理職になる道が閉ざされる傾向にあること、男性にとっても働きやすい環境ではない、こうした社会構造を知り、変えていくことが必要だと述べています。

 

まさに「リアル」な実態が記されていてとても勉強になりましたし、現状をどう変えていくのかというところまで言及していて、理解が深まりました。

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