大橋さおりのかけ歩き

日本共産党福島県議会議員・大橋さおりのブログです

読書「地域新電力 脱炭素で稼ぐまちをつくる方法」

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やっと読み切ることができました。

地球沸騰化と言われる時代、気候危機対策は世界的な喫緊の課題です。

原発事故を契機に再エネの機運が高まり、全国の取り組みが広がっています。

本書では、「2050カーボンニュートラル」を本当に実現するためのとりくみ、再エネは地域経済や地域の担い手育成、地域の課題解決にも再エネが寄与できる、さらに地域住民の利益にもつながることが述べられています。主に再エネは地域外企業が担いがちですが、地域内企業の取り組みが広がれば雇用にもつながり地域経済の活性化につながること、バスや電車の本数が減りデマンドタクシーなどの需要が高まっていますが、そうした課題と再エネを連携させて発展させていく取り組みも紹介されていました。

著者が「今後のまちづくりは、地域資源の活用がされ、地域人材が実践し、地域の稼ぎがしっかり生まれる事業とすることが重要」だとの指摘はその通りだと思いました。以前のような大型開発はハイリスクである上に、地域には固定資産税の収入くらいしかメリットがないことも触れており、伊達のイオン建設や福島駅前再開発のことを思い浮かべました。

 

また、行政の約3年での異動はノウハウを蓄積しにくいシステムであることにも触れており、特に再エネは新しく重要な課題であり、行政が知識や実績をこれから積み重ねていく分野です。再エネの専門家となる職員を、行政としても育成していく必要があると指摘しています。業務効率化などを理由に外部委託も増えていますが、実際は国への補助金申請や委託先の入札・経過報告などはあり、行政の業務量削減に大きくつながるものではないこと、それだけでなく最大のデメリットは外部委託することにより行政にノウハウの蓄積がされないことだと指摘しています。

東京都では、若手職員も含めボトムアップで政策提案ができること、希望を出せば海外研修も(公費で)行けることで、職員のモチベーション向上にもつながっているそうです。スウェーデンと同規模の予算を持つ東京都だからこそできる取り組みもあろうかと思いますが、ボトムアップで意見が出せることはどの組織にも必要なことだと感じました。

 

全国の先進事例も紹介されており、ぜひ現地に行って直接話を伺いたいと思う事例ばかりでした。常任委員会や特別委員会の視察先にもいいかな、と。

長野県の屋根貸し(県有施設にソーラーパネル設置、地域事業者へ貸し出すもの)、鳥取県米子市は地域で発電し公民館などへ供給、余剰電力は蓄電池に充電するなどの取り組み、京都府福知山市では市役所本庁舎、学校、公民館などに100%再エネ電力を供給など、興味深い取り組みがたくさんありました。

 

再エネで地域おこしができる可能性、再エネ事業は地域の課題解決にも寄与することなど、展望のある話が盛りだくさんで、とてもわくわくしながら読みました。

再エネ分野はもちろん、まちづくりに携わる方などいろんな立場の方にお読みいただき、ぜひ意見交換したいなと思う一冊でした。